- ASIN:
- 4150307970
- 作者:
- 小林 泰三
- 出版社・メーカー:
- 早川書房
- 発売(予定)日:
- 2005-05-25
- 定価:
- ¥ 735
- Amazon内売上順位:
- 26,387
- 評価:
- 4
遠野物語はお好きでしょうか。
相対論を愛していますか。
ギリシャ神話無しで生きられますか。
量子力学を感じていますか。
ミルトンは、ホメロスはいかがでしょう。
超対称性は、M理論は。
ならば、お奨めです。
「神話的」ということ。簡潔さの中の力強さ。日常からの逸脱。荘厳。残酷。神秘。歴史。
多すぎない、少なすぎない。
パルテノン神殿と黄金比と円周率。天空の階律が奏でられる。そういうもの。
神話的SFの中で私が今までに気に入っていたのは『戦争を演じた神々たち』だった。
澄み渡って重厚な大原まり子の文体。語られる戦争、誕生、存在と時間と、死。死。死。
今、私の中で、『海を見る人』はそれと並んだ。
表題作を読んで思った。愛していたけれど、でも相対論がこんなに切ないなんて。
小林泰三の緻密で奔放な想像力と、語られる物理と寓話と純愛。
私は初めて、光速度不変を心で感じた気がする。
光円錐の内と外とに満ち溢れるいとおしさよ。